長野県知事選
告示日
2026年7月23日
投票日
2026年8月9日
阿部県政が5期目をめざします。リニアの是非も注目です。
最大の争点は、4期16年に及ぶ阿部県政の評価と多選の是非です。
リニア中央新幹線については、反対派の武田氏が勝利すれば再び工事が止まる可能性が高いです。
現職知事

阿部 守一
あべ しゅいち
<生年月日>
1960年12月21日
(65歳)
総務省出身。元長野県副知事を経て、2010年に初当選し現在4期目。実績と知名度があり、経済団体や労働組合など幅広い支援を受けています。
略歴
-
1960年 東京都生まれ
-
東京都立西高等学校卒業
東京大学法学部卒業(第2類公法コース)
-
1984年 自治省(現在の総務省)に入省
-
2001年 長野県企画局長、同年に長野県副知事に就任
-
2004年 総務省過疎対策室長に就任
-
2007年 横浜市副市長に就任(総務省を退職)
-
2009年 内閣府行政刷新会議事務局次長に就任し、政府の「事業仕分け」の実務を担う
-
2010年 長野県知事に初当選。現在まで4期連続で県知事を務めている
-
2025年 全国知事会の会長に就任
長野県について
長野県にお住まいの方だけでなく、全国の方に興味を持って見ていただきたく。県知事選についてふれる前に、改めて長野県についても軽くご紹介させてください。
県土の約84%を山林が占める「山岳県」です。3000メートル級の山々が連なる雄大な自然と、豊富な温泉、そして美味しい農作物で知られ、観光や移住先として非常に人気の高いエリアです。
湯量豊富な長野県は、温泉地の数が全国2位、温泉を利用した公衆浴場数では全国1位を誇ります。
昼夜の寒暖差で甘く育つリンゴやブドウ、シャインマスカットなどは絶品。豊かな水資源を活かした酒蔵や、ワイナリーが県内各地にあります。信州そばやおやきなどの郷土食も有名です。
大きく4つのエリアに分けられます。
●北信(長野市・野沢温泉など)
県庁所在地があり、日本海側の影響で冬は豪雪地帯となります。
●東信(軽井沢・上田など)
浅間山などがあり、別荘地や避暑地として有名です。
●中信(松本・安曇野・白馬など)
北アルプスがそびえ、登山やウインタースポーツの拠点です。
●南信(諏訪・伊那・飯田など)
諏訪湖があり、比較的温暖で果樹栽培などが盛んです。
面積は12,584.28km²で全国4位と広く、人口は約195万人で全国16位です。

選挙の概要
5選を目指す現職の阿部氏と無所属で新人の武田氏による一騎打ちとなります。
現職の阿部氏には、自民党や公明党、立憲民主党などの与野党の主要政党や県議会、各種経済団体が幅広く「相乗り」で支援・推薦する体制が組まれています。また、2024年に県世論調査協会が行った政治意識調査では、支持率は72.7%と高い評価を受けています。その現職に対し、共産系候補の新人、武田氏が挑む形となります。
最大の争点は、4期16年に及ぶ阿部県政の評価と、目指す「5選(多選)の是非」です。全国には4選以上の知事が現在12名おり、1/4以上の割合となります。今回の長野県知事選は、他の県の多選の是非にも参考になる選挙となるのではないでしょうか。
また、武田氏はリニア中央新幹線に反対しており、武田氏が知事になった場合は、再び工事が止まる可能性が高いです。中央新幹線の是非も注目です。
阿部氏のこれまでの長野県知事選について
現職の阿部氏がこれまでに当選した過去4回の長野県知事選の状況を振り返ってみましょう。
初陣となった2010年は激しい三つどもえの選挙戦となりましたが、2期目以降は与野党の主要政党が相乗りで阿部氏を推薦する「全方位型」の盤石な選挙体制が定着しています。そのため、2回目以降の選挙ではいずれも対立候補に圧倒的な大差をつけて当選を果たしています。
2010年
民主・社民・国民新の3党が推薦した無所属新人の阿部氏が、自民・公明両党が支援した無所属新人の腰原氏を約5000票という僅差で破り、初当選を果たしました。阿部氏は、当時内閣府の行政刷新会議で国の事業仕分けを担っていた経歴を活かし、県の事業や予算を厳しく見直す「信州型事業仕分け」を公約の目玉に掲げました。
2014年
1期目の実績が評価され、共産党を除く与野党から相乗り推薦を獲得しました。対立候補に52万票以上の大差をつけて圧勝しました。
2018年
自民・立憲民主・国民民主・公明・社民の与野党5党の推薦を受け、強固な組織戦を展開しました。元上田市議の金井氏に52万票余の大差をつけました。
2022年
引き続き主要政党からの幅広い推薦を得て「全方位」の選挙戦を展開しました。得票率は過去最高の88.84%を記録した一方、投票率は40.94%と過去最低を更新する結果となりました。

阿部氏の今回の出馬について
2026年5月13日、阿部氏は長野市内で記者会見を開き、任期満了に伴う知事選に無所属で5選を目指して立候補することを正式に表明しました。今回の立候補に向けては相当慎重に考えたとみられます。
「これまでの16年間で培った経験や人脈を生かし、長野県をさらに前進させることが私の責任だ」と述べ、「未来への架け橋となる県政」を引き続き担う意欲を示しました。
また長期政権となる「多選の弊害」について自ら触れ、「権力の集中や停滞がないよう、常に謙虚な姿勢で県民の声に耳を傾け、緊張感を持って県政運営にあたる」と強調しました。
これまでの知事選の振り返りと今回の状況。
主な争点と政策の違い
阿部氏と武田氏の主な争点を見てみましょう。
■現県政の評価と多選の是非
阿部氏
4期にわたる安定した県政運営の実績や、全国知事会長としての経験を強調し、継続を訴えています。
武田氏
現県政をマンネリだと批判し、多選による弊害を指摘。県政の刷新と転換を強く主張しています。
経済・くらしの政策
阿部氏
全国知事会会長としての知見も活かし、既存の枠組みを活用した実利的な地方創生策を掲げています。
武田氏
県民負担の軽減を掲げ、2027年3月までの水道基本料金ゼロや子ども医療費の完全無料化などを重点公約としています。
リニア中央新幹線を巡る対応
阿部氏
東京-名古屋間の早期整備と開業を強く要望しています。開業効果による地域活性化や近隣県・関係自治体と連携し、人流活性化の基盤づくりを進める考え。
武田氏
トンネル工事に伴う残土処理問題や環境破壊への強い懸念を示し、リニア中央新幹線の整備中止を公約に明記しています。
多選の是非については、県政のマンネリ化や権力の固定化につながる懸念があります。これは長野県に限らず、多選につながりやすい知事選の問題と言っていいでしょう。
注目したいのは、リニア中央新幹線についてです。リニア中央新幹線は、災害リスクの軽減やメガリージョン(巨大都市圏)の形成による経済活性化、中長期的かつ安定的な旅客輸送の確保を目的としており、日本全体で考えても重要な事業です。その工事は、静岡県の反対により長年着工が遅れていました。もし武田氏が県知事になった場合は、その再現となるでしょう。
知事選は、その都道府県だけでなく、そのほかの地域にも影響を及ぼしうる問題です。全国の47都道府県の知事選は、お住まいの地域にかかわらず、全国で注目していくべきです。

主な争点について
移民政策について
今回の選挙では争点になっておりませんが、「全国知事選INFO」では移民政策を重要視する項目の1つとしています。両候補の取り組みや考え方をまとめてみました。
阿部氏
全国知事会長としての立場もあり、人口減少対策の一環として「秩序ある多文化共生」を推進する立場をとっています。外国人を地域を共に創るパートナーとして捉え、県庁内に多文化共生推進本部を設置。生活全般のサポートや日本語教育の充実を進めています。
データや事実に基づかない排外主義的な意見を否定する一方で、無秩序な受け入れを意味するものではないと強調しています。ルールを守らない場合は厳しく対応すべきとしています。自治体任せになっている現状を批判し、国が前面に出た体制づくりを強く求めています。
武田氏
「労働環境の是正」や「人手不足の根本的な国内解決」を重視しています。共産党の推薦を受ける武田氏のベースには、外国人労働者を「低賃金の調整弁」として扱う、技能実習や育成就労などの国の政策に対する批判があります。受け入れる場合は、日本人と同等の労働権利や人権、社会保障を保障すべきだという姿勢です。
長野県内では在留外国人数が過去最多を更新しており、県民から「拙速な移民推進への懸念」の声も一部で上がっています。手遅れにならないように対応していただきたいと思います。
人柄
阿部氏
「一見、真面目で堅実。内に秘めた現場主義の情熱家」
生まれも育ちも東京で、長野県出身ではありません。しかし、転勤で長野県民となり、長野に魅せられて「第二というより、第一の故郷」と長野県愛を語っています。
元自治省(現総務省)の官僚で、長野県副知事などを経て2010年に知事に初当選。行政実務に精通した真面目で堅実な印象が強いです。また、「現場にこそ課題もあり解決策もある」という強い信念を持っています。全国知事会長としてもこの姿勢を崩さず、県民との対話や意見交換を大切にする丁寧な姿勢が評価されています。
一方で、大学時代は飲み会の設定に駆け回る「コンパ委員」を務めるなど、気さくな一面もあります。長野県小諸市に自宅を建てており、趣味は薪ストーブの炎を眺めることや周辺の散策です。公務が多忙を極めるため「ほとんど自宅に帰れない」と苦笑する一面も報道されています。
基本は冷静沈着ですが、県民の利益を損なう問題や説明責任を果たさない事例に対しては、珍しく声を荒げて怒りをあらわにするなど、熱い感情を覗かせることもあります。
家族構成は、妻と長男の3人家族です。
武田氏
「庶民目線を大切にする、熱血漢の聞き上手」
長野県中野市のリンゴ農家に生まれ、信州大学教育学部へ進学。学生時代の教育実習で、貧困などを理由に学ぶことを諦めざるを得ない子どもたちの実態に直面したことが、政治を志す原点となっています。
元参議院議員であり、国政での経験もありますが、基本のスタイルは市民目線です。農業や福祉の現場、医療機関へと自ら足を運び、地域住民と膝を突き合わせてじっくり話を聞く、誠実で聞き上手な人柄が支持者に評価されています。
私生活では3人の子育て真っ最中の父親でもあります。そのため、物価高や子育て、現役世代の暮らしの苦しさに対して強い当事者意識を持っており、今回の知事選でも「あきらめない県政」を熱く訴え、県政刷新に挑んでいます。
小学4年生から高校3年生までの計9年間、剣道部に所属していました。物事にまっすぐ向き合う実直さや、力強さに繋がっているのかもしれません。
選挙の意義
この「全国知事選INFO」のサイトは、選挙を追い始めてまだ日が浅いです。その都度、理解や考えを深めていきたいと思っております。今回、考えてみたいと思ったのは「選挙の意義」です。
共産党系の候補はどの選挙でもよく見かけます。今回の選挙でも、現職に共産党の新人が挑むというよく見る構図。共産党は、勝敗に関わらず「全国すべての選挙区に候補者を擁立する」方針を長年とってきました。これは「どこに住んでいても共産党に投票できるようにする」「党の政策を全国に広める」ためのようです。
この考えはとても良いと思います。選挙は党の政策を知ってもらう場でもあります。特に、現職を含めて立候補者が2人以上いなければ、選挙もなく当選が決まってしまいます。候補者に明確な差があり、勝ち負けが決定的な選挙などは税金の無駄だという声もありますが、定期的な現政権の評価や、どうあるべきなのかを見直すことは大事ことで意義があると思います。
ただ、周知の通り、共産党は反日的思想を持つ党です。共産系の候補がいても、一般の方に選挙の選択肢が広がったとは言いがたいです。疑問に思うのは、他の政党がなぜ同じことをしないのか。もちろん供託金が立候補のネックになっていることは分かります。知事選の供託金は300万円。有効投票数の10分の1以上の得票数に達しないと返却されることなく没収されます。勝てる見込みの薄い選挙への擁立は大きな財政リスクになります。疑問は「共産党にはできて、他の党はなぜやらないのか」です。方針の違いがあるとはいえ、いまだ腑に落ちません。
知事選ではないですが、2024年の衆院選では3分の2の候補者が有効投票数の1割(没収点)に届かず没収額が4億2,900万円。2017年の衆院選では、総没収額が8億1,000万円(小選挙区:7億3,200万円+ 比例代表7,800万円)。大きな金額に思えます。
選挙や立候補の意義、供託金の金額の是非など、いろいろと考えないといけないことがあるように見えます。今後、他の都道府県の知事選の状況もみながら深堀りしていきたいと思います。
投票日は8月9日です
選挙の日程が迫っています。告示日が7/23、投票日は8/9です。最新情報はその都度、更新していきたいと思います。
知事選は国政選挙に比べて関心が低いです。他の自治体の知事選についてはまったくといって関心がないくらいの状況です。知らないうちに選挙が終わり、気がつくとなぜ当選したのかと首を傾げたくなるようなトンデモ知事が誕生している自治体が全国にいくつもあると感じています。
今回の長野県知事選では、武田氏が当選となった場合、リニア中央新幹線の工事が再度止まる可能性が高いです。全国の都道府県知事選はその自治体だけの話ではないのです。
阿部氏は、過去の実績への評価も高く、与野党相乗りの支援状況で盤石の体制です。選挙の情勢はすでに決まっているともいえる状況ですが、選挙に行く意義はあります。投票率は政治に関心があると示す意思表示でもあります。また、今回の選挙では、投票率の低下は共産党に利する流れです。阿部氏への投票は、共産党に対するYES/NOの意思表示にもなります。
長野県にお住まいの方達はもちろん、その他の地域にお住まいの方にも、ぜひ長野県知事選に関心を持っていただきたいです。知事選から変えられることもあるはずです。日本をよりよくするために、全国の知事選を一緒に盛り上げていきましょう!
※このページの情報は更新時時点での情報です。
